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目黒権之助

子供のころ、叔父が野鳥の会だったので、鳥の話をずいぶん耳にした。
オオルリ、コルリの違いとか、サンコウチョウの鳴き声についてだとか。
鳥に関して子供のころのハイライトと言えば、我が家の北東(鬼門ね)にある
ウラジロガシにコノハズクの親子が現われ、ほーほーとやったことだろう。
そのころ、目黒といえばメグロであり、メジロと対になった鳥の名前であった。
メグロは小笠原の鳥なので、めったに見られやしないのだけど。

大人になって目黒に初めて行ったのは果たしていつだろう。
確か、庭園美術館に行くためだったはずだ。そうでないはずがない。
まずその名前にひかれ、一度行ったらまさに恋に落ちた。

恋が高じて、
勝手に人類が滅びて自分が生き残ったら住む場所(長っ)に
指定している。そんなわけで人類最後の一人になれるのを楽しみにしている。
我が家はやはり落ち着くの。うふふ

(ちなみに目白もわりと好きだが別に用事がない)

ところが、珍しく目黒区立美術館に行くことになった。
もはや覚えてもいない思い付きで応募した懸賞に当たったのだ。
晴天の霹靂というやつ。
残念ながら、区立美術館には行ったことがない。
そもそも、庭園美術館のお膝元に区立があるの!?と
失礼なことを考えたりして。
場所を調べると、目黒川を渡って西側とある。よしきた

pelargonium

午前中、園生の森公園でいつものメンバーと、ぼちぼち草刈りと昆虫観察と植物観察を終え、
「皆さんの目の黒いうちに物置建てましょう!」と軽口をたたき…(※平均年齢68才)
なかよしのM山さん(75)に稲毛駅まで送ってもらう。
「忙しいってのはいいよな。俺なんかただ死ぬの待ってるだけだもん。ははは」
…いいな70代。粋な人が多い気がする。そんなこと言いながら趣味が4つもあるくせに…

<電車にゆられてどんぶらこ>

目黒駅から権之助坂を下る。橋の手前で見事なフヨウとチリメンフヨウが並んでいる。
橋を渡る。まあ、あまりきれいでもない目黒川。両岸はソメイヨシノさね。いちおうね。
花見の時にゃ人手がさぞあるだろうね。で、川っぺリの遊歩道をてんつくてんつく、
歩ってったわけだ。区民プール。区民プールがあらぁ。
ずん人がいるとん。暑いからか。暑いのにみんな甲羅干ししてら。
僕なんかもう20年はプールいってねえな。あいや、高校の授業があったか。
そもそも水着どうしたっけ。まいいか。

いちおう、サインがあって、美術館こっちって誘われる。
区のいろんな施設が固まってねあるんだね。プールとか。ふうん。
けっこう古いね。ベンチも年代物だし。
大きなメタセコイア、樹形のいいアオギリ。
…え、これ? これ!?

と、めったやたら長い前ふりでしたが、ちょっと考え事しながら
歩いてたらそれほど長くもなく、短くもなく。誘われる距離。
庭園美術館よりも坂がある分、趣がある。変化がある。
ちょっとそこらを見ながら、ふううむなんていって着く。
ああ、この距離感、いいなと思った。
(佐倉の川村記念美術館はこれをバスでやる)

そして、建築の目立たないこと。あるのかないのか、よくわからない。
矢印に沿っていくと、一応着く。
こないだ、ベネッセハウスの誘導の拙さにむっとしてたから、
このアプローチの巧みさはとても印象的だった。(意図してないのかもしれないけど)

さて、肝心の展示は『遊びのなかの色と形展』というちょっとそっけないタイトル。
クルト・ネフとアントニオ・ヴィダーリ。二人の木製玩具作家の作品を中心にした展示だ。
なにせ、偶然のことだし、美術館雑食性の僕は、なんの予備知識もない。
そして、入ってからしまったと思った。これは、妹夫婦にゆずりゃ良かった…
いつもお世話になってるのに。なぜならば、二人のいくつかある趣味のひとつが、
木製遊具の蒐集だからだ。やばい。あとでなじられる。

ただ、もう時すでに遅しである(笑)玩具なので、子供連れも多いけど、
子供連れには慣れてるので気にしない。

tama3


展示はとてもシンプル。階段を上がって左右にネフとヴィダーリの作品を振り分けてある。
そもそも面積がこじんまりとしていて、一息にくるりと回れる感じ。これも好感。

ネフのほうは、1つのモデュールを積み木していくシンプルなものが多い。
というか、ほぼそれだけで持たせている。あはは。「ネフ・スピール」という、
日本の糸巻きのような、イサムノグチの遊具のようなパズル。
制作の過程で、材料の木目を選り分けて、目のきれいな部分は黄色のスピールにするという。
そんなこと、考えもしなかったから驚いた。塗装は3回。
きめの細かい色なのに、ぐいぐいは来ない美しい形と配色。
誰かが「色の教育に良さそう」とつぶやく。
なんだろう。ちょっと違和感。無限にある色を絵具とかクレヨンで
制限しやしないかと思えた。
もっとも子供のころ、多くの色にそれほど興味を
持たなかったかもしれない。
色はおとなの楽しみなのかもしれない。

ヴィダーリは独特の曲線美をもつ丸っこい動物のパズルが多い。
線がとても参考になる。ちょっと癖があるかな。彼の写真をみるとなんとなく
そんな気がする。聞かん坊な顔をしている。
こちらもスケッチや型紙も展示してあって面白い。
ちょうど、動物をデフォルメしなきゃいけない必要があったし。

2人以外の作品もいろいろあったけれど、いちばん印象に残ったのは、
遠藤裕のチューリップを彫った木彫。玩具ではなく、ふつうの木彫。
なんか、ざっと切り出していて、チューリップそのものとも微妙に違う形をしている。
削り出す時に、たぶん電動鋸の刃の暴れるままにまかせているのだ。

僕はただだったわけだけど、これで700円は安い。もっととってもいい。
利益がどうというより、申し訳ない。

区立だからなのか、係員のかたは表情の柔らかい普通っぽい人だし、
一画で、ネフ・スピールを使った遊び方もやっている森ガール風の(笑)
悪く言えば、素人風で、よく言えばアートずれしてない。
庭園美術館も猪熊美術館も、(たぶん予算不足で)最近そうなっていて、とても居やすい。

キュレーターはともかく、館内の係の人まで、ばりぼりの「アート系です」オーラの
人を並べられると、気押される…妙に庶民派を気取るのも鼻持ちならないけども、
美術展は、スタッフの方のアートを体現したいという自己顕示欲のためにやってるのでもないのだし。
予算削ったのが、よいほうに働いていると思う(切り盛りは大変だとおもうけど)

kanyasuda


うむうむと、満足して、カフェにてアップルタイザ―なるものを頂く。
(アップルサイダー!と言って恥をかく)うまし。
カフェは開口部が広く、ちょっと古くさい黒いアルミサッシのグリッド。でも
ちっとも気にならない。外は濃厚な緑。ヤマモモとか。常緑樹はいつもは重いなぁと思うけど、
開口部の広さと、天気と、店内の色調とのバランスが良くて平気。
逆に、落葉樹だとうわついた空気になっただろう。

そして、この段になって、この美術館の建築の素晴らしさが徐々に
明らかになってきたのであった(おおげさだな)
間取りはこんな感じ

それほど、豪華な素材を使ってるわけでもない。
普通の御影石のビシャン仕上げがメインの壁材。ビシャンというのが味噌かな。
最近のオフィスビルは、本磨きが主流でおぞましいことこの上ない。
ビシャンなら御影のえぐみは出てこない。そして、微妙に1枚1枚に隙間を空けて
貼っている。これがなにげに効果絶大な気がする。
ビシャンの御影は白っぽいので、ベタ貼りにすればのっぺらぼうになってしまう。
おそらくそこを意識しての処理だろう。エッジも斜めに落として、ΛΛこう合わせている。
陰ができるので、これものっぺり見せない効果になるようだ。

地が御影なら、図は?というと、ほんの少し、コールテン鋼のH鋼の300mm角ぐらいのを
ロビー~階段にかけて使っているのと、展示室の開口部の外周にオークっぽい木材を
ぐるりと回している。これが図だ。この、図の挿しこみ方が絶妙だ。
H鋼は空間を引き締めているし、開口部の木材は、グレーの空間の中でぱっと目を引き、
自然と展示室に足が向くようにしてある。
コンパクトであるとはいえ、この誘い方が悪いと居心地は覿面に悪くなる。
上手い。

残念ながら誰が設計したのか分からない。
美術館のページには日本設計としかなく、ネットでも出てこない。
設計協力にGK設計とあるから、GK設計の視点で空間作りがスムーズなのかもしれない。
いずれにしても、派手さはないけれど、とても実直でよい建築物だと思う。
これをつくった人たちは無名なのかもしれないけど、いい仕事をしたのだなぁ。

展示も過去のものを見ると、地味だけど丁寧に無名の題材を拾っている。
きっとよいキュレーターがおわすのでせう。
こういう美術館は応援していきたいものだ。また行こう!カフェの居心地もよい!


※写真ちっとも撮ってないので、上から香り袋にするペラルゴニウム・シドイデスの葉。タマ。
 ミッドタウンの安田侃彫刻。

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プロフィール

清右衛門

Author:清右衛門
みちくさ部長。北鎌倉たからの庭にて、草木についてのほほんと語る教室をしてます。教室&ワークショップ、ツアーや活動の記録、お知らせや、日々の雑感など。

ほかにも、編集的雑用・野草を生かしたランドスケープデザイン・植物調査・公共サインデザイン・グラフィックも少々やってます。

生態学畑。園生の森、おゆみ野の森でボランティア。
いけばな尚真。たまに俳句。

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