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911

東京都写真美術館で映画をやるというのを引き金にして、
911に纏わるあれこれのことを思い出した。

それで、ついついネットを泳ぎまわり、昨日は夜更かしをした。
で、そのことについてまとめようとして、やっぱり今日も夜更かしをしているわけだ。
まったくもって、資源の無駄であるが、それが精神衛生というやつ。

大事なのは、毎度うちのおばあが「世界不思議発見」を見るときのつぶやき。
「これ、ほんとに行ってきただぉか」なのである。直接見ていないことへの懐疑。
このことは最近よく思い起こす(いや、おばあは元気です)

911をほんとのところ、誰が何のためにやったのかについて、
未だ明らかにされていないし、もしかしたら未来永劫明らかにされないのかもしれない。
このことについては、「明らかにされる」ことについて、
たまたま相次いで読んだ本に通底していた線。

P9110379x.jpg



ひとつは、佐藤亜紀『鏡の影』
主人公ヨハネスが、世界をひと突きで動かす理論を求めて大冒険する話。
世界を創造し、再び創造できるかもしれない理論だったのに。
理解できたと思ったそれは、掴んだと思ったら石ころのようになってしまった。
すごく要約するとそういう話。

もうひとつは、森博嗣『ηなのに夢のよう』
たまたま、飛行機テロの話が出てくる。もしかしたら911を
意識して描かれたかもしれない。
その中で、主人公の一人、犀川創平は
「動機や理由を求めるのは所詮、そのことによって安心したいというだけだ」
とかなんとか言うのだ。森はこのことについて繰り返し書いているけども、
折よく、出てきたのでちょっと嬉しくなった。

P9060229x.jpg


ネットで僕が911について読みふけったのは、
結局この、安心のためだったのには違いない。
誰しも、意味の分からないものにはなんとか理由を見つけたい。
(脳みその宿命だと養老猛司師匠なら言うだろう)

いくつか説がある。だいたいこんなもの
①アルカイダが立案・実行(公式見解)
②アルカイダが実行、アメリカ当局は黙認(田中宇氏の説)
③アルカイダが実行、アメリカ当局が立案・推進(いろんなひと)
④アメリカ当局が立案・実行(いろんなひと)
⑤イスラエル諜報機関モサドが立案・実行(いろんなひと)

で、いまどき①の公式見解を諸手を挙げて支持する人はまあいるまい。
もっとも、なんでもいいよ、という意見も多かろう。
実際、そのほうがよっぽど健全だ。早寝早起き朝ごはん。

面倒なのでリンクは貼らないが、⑤のモサド説の人が唱えていた、
ワールドトレードセンター(WTC)を爆破崩落させたのは、
小型戦術水爆を使ったのではないかという説がずいぶん真に迫っていた。
ウランやプルトニウムを使わない水爆なら、放射能汚染が出ず、
威力をコントロールする技術がすでにできているとすると、ピンポイントで
WTCを爆破できるのでいろーんなことがまるっと説明できるそうな。

で、けっきょく、すっきりとした説明が精神衛生上ほしかったので、
とても面白く読んだわけだけれど、例によって例の如く、
世界の政治経済は、ユダヤ資本のロスチャイルド家とかに牛耳られており、
911もその黒幕たちがしでかしたにちがいない!というお約束の陰謀論だったのでした。
とほほ。そうじゃないと論証もできないわけだけれど、
その筆者が挙げているさまざまな証言や仮説が想像力をかきたてたのは間違いない。

例えば、
・グラウンド・ゼロは1カ月近く温度が下がらず、地下には溶融した鉄のプールがあった
・犠牲者のうち1600人分は遺体が跡形も見つからず、蒸発でもしたかのようだ
・あとから衝突した飛行機には窓がなく、そもそも発表されていた便の飛行機ではなかった可能性もある
・というか、911に関わった4機の飛行機にはいずれも発表された乗客は乗っておらず、
 激突・墜落したとされる飛行機はその後も飛んでいた。

とまあ、もはや怪談の域。フライトレコーダーなどが公開されてないようなので、
こういう話は「うそん」と言っても検証しようもない。
ほんとだったとしたら、アメリカが解体でもしない限り(したとしても)
出て来たりしないだろうという話ばかりだ。

P9110345x.jpg


ここからは、ちゃんと自分の目の話だ。おばあの台詞を思い起こしつつ。
あのとき、ちょうどテレビを見ていた。
だから、リアルタイムで、2機目がつっこんだところは見ていた。
で、結局その後のどたばたもずっと見てしまった。
思えば、あれがテレビをまじめに見た最後だったかもしれない。

そして、あの躊躇なく突っ込んでいく感じ、がとても気持ち悪かった。
とっさに(まだ諸々の陰謀論に親しむ以前の純朴なころである)
ああ、これは自傷行為ではないかと思ったのだった。
別に、あたしゃ先見の明があるなんて自慢したいのではない。
ただ、そんな感じがしたというだけだ。

これも『ηなのに夢のよう』で出てくる議論だけれど、
ちゃんとした動機がある殺人犯と、まったくの通り魔とどっちに殺されるのが
ましだろうというのがある。残された側としては前者が望ましい。
まだ、ああしてこうすれば回避できたかもしれないと、対策のしようがあるからだ。
けれども、まったく意味不明で起こった殺人は、より恐怖をかきたてる。

僕は映像で見た限りの911が、イスラムの過激派が憎しみに駆られてやったようには
どうしても見えなかったのだ。
もちろん、イスラム原理主義の峻厳さについて実感できる材料を僕は持たない。
かの宗教からすれば、対極にある日本的多神教文化の中にいる(カトリックであったとしてもだ)
それにしても、個人が誰かを憎んで殺したいと思って、手を下す時には、それなりの躊躇があると思う。

でも、ああして突っ込んでいった飛行機の軌跡にはまったく淀みがない。
躊躇のかけらもない。まるで、異星人のように感じる肉食昆虫がひと突きで
獲物をとらえたかのような感じ。そのような感覚で大勢の人が殺され、鉄のプールができた。
それがものすごく気持ち悪く、生理的に怖いと思った根にある。

結局、誰がやったかなんて、一市民がどうこうできる話でもないし、
おばあの論にたてば、見たわけじゃない。
あれは本当にあったことだろうか。懐疑する。懐疑せざるを得ない。

テレビもネットもあって、世界中の情報がその気になればすぐ入る。
だから、陰謀論の筆者のように、『鏡の影』のヨハネスのように
「世界はかくあれかし」と説明したくなるものだ。
でも、果たしてそんな大きな世界、手も届かないような世界について
誰もが把握して、説明できる義務を負っているもんだろうか。
別にそうでもないと思う。おばあのように。

きっと数学者と物理学者が、諸々の自然現象を駆動している諸法則を
そのうち全部解き明かしてくれるだろう。
でも、一方でそういうある法則が統べる世界で実際のところなにがどのように
起こるかは神さまだって分からないだろう。ましてや人間には。
少ないながらも、森林や庭みたいな複雑系を相手にしている経験からそれは
間違いない。せいぜい天気予報の精度が上がるくらい。

911を起こした人々にどれほど悪意があっただろうか。
あれはもしかしたらとてつもなく大勢の人たちが、それぞれ善意で善きことをしようとした
結果が複雑に絡み合い、不運にも起こってしまったかも知れないのだ。
だから、たぶん僕があんなにも生理的に恐怖したのは
そういう、把握しようのない世界の意味不明さを
突きつけられたような気がしたからだと思う。

いくら、これで説明ができた、と思っても実は石ころだったりする。
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プロフィール

清右衛門

Author:清右衛門
みちくさ部長。北鎌倉たからの庭にて、草木についてのほほんと語る教室をしてます。教室&ワークショップ、ツアーや活動の記録、お知らせや、日々の雑感など。

ほかにも、編集的雑用・野草を生かしたランドスケープデザイン・植物調査・公共サインデザイン・グラフィックも少々やってます。

生態学畑。園生の森、おゆみ野の森でボランティア。
いけばな尚真。たまに俳句。

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